価格: | ¥1430 |
著者: | 成田龍一 |
出版社: | 朝日新聞出版 |
発行年月: | 2003年05月 |
ISBN: | 9784022598288 |
種類: | 全集・双書 (朝日選書) |
在庫状況: | |
歴史小説は“史実”か“虚構”か、という対比には意味がない。作家も歴史家も、自分の生きている時代のなかで、ある時代を切り取り、対象として書く。歴史を描くうえで、両者の差はない。史実が書かれているかどうかではなく、記述の“作法”に意味がある。本書では、「国民作家」司馬遼太郎作品のなかでもとくに人気の高い『竜馬がゆく』と『坂の上の雲』を、作品全体を通してたんねんに読み込んでいく。2作品で司馬が書いた、あるいは書かなかった幕末・明治を、小説の対象となった時代・小説が書かれた時代・そしてわれわれが読んでいる今現在=「三つの時間軸」で読む、はじめての試みである。読み手が“いま”を背景に、作品をどう読むかも問われるのだ。