今の世を、兼好法師の眼で見てみれば、６００年の時間をへだてて『徒然草』の一段一段がまことに腑におちてくる。かつて法師が住んでいた双ケ岡を寂庵の窓から眺めながら、“つれづれなるままによしなしごとを書きつくれば…、あやしうこそものぐるほしけれ”。法師と語らいつつ綴る寂聴版『徒然草』。