石崎佐恵子は、昼間勤めに出て、夜は京都の祇園のクラブでホステスとして働いている。夜も働いているのは、以前付き合っていた男が勝手に彼女の印鑑を使ってクレジット会社二社から借金をしたからである。一応は法律相談の弁護士に話したのだが不親切な指示のために、結局は差し押えを受け、彼女は身に覚えのない借金返済のために、相手側の弁護士に和解調書を作らされた。もう、弁護士はこりごりだったが、クラブに来る３０代半ばの新進気鋭の弁護士に彼女は引かれていった。法廷に持ち出された男と女のトラブルは愛と涙とかなしみに満ちている。法廷推理短編集。