価格: | ¥458 |
著者: | 中島梓 |
出版社: | 角川書店 |
発行年月: | 1989年06月 |
ISBN: | 9784041500521 |
種類: | 文庫 (角川文庫) |
在庫状況: | |
母親になることが、これほどまでに人間の自我を変容させるものなのかと、著者は問います。母親であることを享受した瞬間から、意識の底で濁っていた「人間」や「世界」への眼差しが澄んでゆくのはなぜだろう。拒否し回避しつづけてきた“平凡”さへ感応し、それが焦点を結び始めるのはなぜだろう。それが解理できた時、著者は感謝します。自分の息子が己れを母にしてくれたことへ。同時に、その喜びと悲しみ、悩み、煩悩、不安、恐怖、そして愛にー。これは、作家、評論家、随筆家と、幾つもの顔を持つ著者が、母として自己同一性を感認する精神史であり、また、すべての母へ、すべての子供たちへ捧げられた、慈愛と勇気に満ちた保育日記である。