挙式当日、美弥は結婚に不安を抱いていた。それは高熱に苦しんでいるせいなのか、昨夜、彼と喧嘩をしたからなのだろうか。もう一度、彼と出逢った頃を想い返してみようと瞳を閉じる。十年前ーそこには、人を愛するということを教えてくれた高校教師のテツヤ、陸上部のエースだったジュン、男になりたいと泣いた親友のケイ、ダンスに夢中だった自分がいた。そして、風船かずらが揺れて咲く庭で、思い悩んだあの日の私は、いま…。甘くせつない初恋の記憶へと誘う、ピュアなラブストーリー。