「あなたはね。ずいぶんたくさん、怪談を書いているようだが、霊魂の存在を、信じておいでなんですか」その奇妙な電話に、信じているわけじゃないと答えると、ねばりつくように絡んでくる。電話を切った。とたんにドアのチャイムが鳴って、恰幅のいい男が立っていた。男はワープロのスクリーンをのぞき、行きどまりの袋小路で人が消える話を読んで、あの袋小路はただの横丁になってしまったなどという…。熟練の現代怪奇譚。