いつか人間に興味を失うー。錆びついた感性を抱え、フォトライターの沢原はそんな恐怖を感じていた。独りの、感じる人間に出会いたい。被写体を求め街を彷徨う沢原は、料理店の手洗いでその男に出会った。鏡の中で目が合った時のショック。男を追った沢原を２度目のショックがかけぬける。男の連れは、沢原がかつて愛した女彩子だったのだ。「鏡の顔」ほか、ネオ・ハードボイルドの秀作４篇。