シナリオライターの藤井明は、マンションの一室を仕事場にしていた。ある日の昼下り、隣室の若い人妻大原妙子が、自室のシャワーが故障したので借りたい、と訪ねて来た。シャワーの音が止み、気が付くとそこにバスタオルを巻いただけの妙子の姿があった。突然の誘いに戸惑う藤井だったが、やがて一瞬の快楽に身を投じてしまう（第一楽章『裏切り』）。女と男の妖しい性を濃密に描いた十二楽章。