十三歳で戦災孤児となった儂は一人で生きるために、モク拾い、靴磨き、かっぱらい、果ては人前でセックスを見せるショウまで何でもやって生きてきた。あるきっかけで、三十を越えるころにはちょっとした実業家になった儂は電気製品の販売店を全国展開し、情報産業にも進出した。しかし、仕事にも金儲けにも飽きた儂は、経営から一切身を引き、三十数億の財産を手にした。今の儂の楽しみは、根性も容姿も並外れて歪んでいる妻と二人の娘が、莫大な遺産をめぐってどのような茶番劇を見せてくれるのか、ということなのだー。