前小田浜藩藩主喜多岡正頼とその側室かがりの娘である鞘香は、十八歳になったのを機に、淫法修行を積んでいた姥山にある素破の里を下り、江戸へ向かうことになった。学問はできるが、剣術はいささか頼りない藩校の兵学教授を務めていた小久保駿介は、その供を命じられ、山を下りてくる鞘香姫を途中まで迎えに出向いたが、そこで野臥せりたちに襲われ…。公表を博した「かがり」シリーズに続く淫法帖が絢爛豪華に幕を上げる。