価格: | ¥1320 |
著者: | 福田清人/小久保武 |
出版社: | 清水書院 |
発行年月: | 2018年04月 |
ISBN: | 9784389401276 |
種類: | 全集・双書 (Century Books 人と作品 32) |
在庫状況: | 在庫あり |
菊池寛は、偉大なる作家であるよりも前に、まず、偉大なる生活者、偉大なる常識人であった。また、ざせつということを知らぬ偉大なる実行家であった。かれの心は、つねに現実に向かってさめていた。だから、文学や芸術に対しても、かれは、けっしてロマンチックな幻想を持たなかった。かれが、純文学の面での芸術的完成を、あえて深追いする必要を認めなかったのもそのためであった。こうして、かれの後半生のエネルギーの大半は、通俗小説や雑誌経営に費やされたが、その努力は、文学の社会化という、画期的な大事業と分かちがたく結びついていたのである。「人生第一、芸術第二」-このことばに、リアリスト菊池寛のすべては語り尽くされている。