価格: | ¥1760 |
著者: | 青山 淳平 |
出版社: | 社会思想社 |
発行年月: | 1999年07月 |
ISBN: | 9784390604314 |
種類: | 単行本 |
在庫状況: | |
四国は詩国であり、いやしの風光に満ちた仏の国である。四国の自然には、都市生活から見失われてしまった暮らしの情景を想いおこさせる奥深いあたたかさがある。著者が本書でその捨身の人生を紹介した堂守の手束妙絹は、歩き遍路をすればどんな悩みもふっきれるという。道中で目にし膚で感じる山川草木に仏のすがたを見、生かされていまあることの仕合せに涙するようになるのだという。四国には疲れたこころを再生させる風光と訪れる人々をやさしくうけいれる風土がある。四国のこのような魅力は、古来からたくさんの人々をこの地に招いてきた。本書におさめられた六人の人物評伝も、四国の大将とよばれた坪内寿夫をのぞいて、みんな人生の途上で海をわたり四国松山へやってきた人たちの話である。それも坪内はともかく、ほかの人たちは世間的にあまり知られてはいない草莽のいわば旅人だった。その代表格の種田山頭火にしろ今日でこそ人口に膾炙するようになったが、句友の大山澄太の山頭火顕彰の努力がなかったならこれほどまで有名になることはなかったであろう。かれらは四国でそれぞれの人生に意味を見いだし、人情のぬくもりがのこるこの地で人間の価値を高め、かれらにしかできない仕事をなしている。