価格: | ¥469 |
著者: | 生島治郎 |
出版社: | 春陽堂書店 |
発行年月: | 1992年05月01日頃 |
ISBN: | 9784394335047 |
種類: | 文庫 (春陽文庫) |
在庫状況: | |
霧雨の深い夜、わたしの運転するクーペが、真新しい深紅のスポーツカーに追突された。バンパーをちょっとへこまされただけで事故というほどのことでもなかったが、丁寧にあいさつをして、菊田みずほと名乗った20歳ばかりの若い娘の澄んだ瞳が印象に残った。それから3日後の深夜、「殺してしまったんです。それも…父を!相談にのって…」という菊田みずほからの突然の電話、みずほの父は文壇で巨匠とうたわれる作家であった。あの娘が父を拳銃で…。駆けつけたわたしは、心やさしい清純な娘の幼い作為を、たちまちに読みとってしまった。(第1話「死んだ男にこの唄を」)私立探偵志田司郎が、そこはかとない哀愁をただよわせた人間の業と鋭く対決する本格ハードボイルド連作編。