京都の旅荘八十八で、有名カメラマン新門寿久が何者かに刺殺された。死体の傍らには、芥川龍之介の名作『羅生門』と、紫色の花で、春から夏にかけて咲く〈羅生門蔓〉の栞が残されていた。折しも同旅館に滞在していた梨香は、姉の香奈に連絡し、香奈は、心ひそかに慕う警察庁の小早川警視正に助けを求めた。こうして美人姉妹と小早川の真相追及が始められた。だが、解決の糸口が見つけられぬまま、伊豆の蓮台寺で第２の殺人事件が発生した…。ミステリーの名手が贈る長編本格推理の傑作！