現在、具体的な詩歌を挙げ、あるいは美しい語句をあつめ、日本語の美しさを伝える本が喜ばれている。ことばに関する本が次々と出版され、多くの人々がことばの美しさについて口を開く。しかし、本当に美しいことばとは、語感や字面の美しさだけでなく、その用いられ方や組み合わせ、そしてそこに込められた思いによって生みだされるものであり、用いる人間の人生の縮図といっても過言ではない。だからこそ、ことばの美しさに人一倍敏感な俳人や歌人が綴る詩歌作品にはこだわり抜いたことばの結晶がしばしば登場し、真に胸に響くのだろう。これらの、受け手にとっても読み手にとっても人生の大切な一ページとなるような「ことばの宝物」を、日本語の乱れが叫ばれる時代だからこそ、世の中に届けたい。大切に包み、語り継げるような本としてー。そんな思いを込めて、本書を編んだ。