本書は、ながく公刊が待たれていた近代ヨーロッパ批判「新しい西洋のために」を冒頭に収めるカール・ポランニーの未発表論考集である。初期のファシズム研究から、中期『大転換』の市場社会批判を経て、後期「経済人類学」構想へと至る、ポランニー思想のすべてが網羅されている。ポランニーによれば、本来「商品」とはなりえない労働力や土地を商品化したことが、大恐慌をはじめとする市場社会の崩壊を引き起こし、その対処策としてとられた政策がファシズムの擡頭と二度の世界大戦を招いた。歴史学、経済学、人類学の浩瀚な知識をもとに、近代社会の病巣に迫った偉大な思想家の仕事を読む。