創業が鎌倉時代という京都の古道具店氷岳屋で５０年ぶりの蔵ざらえが行なわれた。次男の猛二は蔵の中で偶然、一巻の巻物を見つけだし、熱心に読みふけった。その結果、何かを会得した表情を示し、出奔してしまった。その頃、日本の各地で練達の武道家が凄絶な死を遂げるという事件が続発した。甲府郊外に道場を持つ綺檀道児は、取材記者の眼前で見知らぬ若者の挑戦を受け、決着はつかなかったが、それは恐るべき激闘シリーズの開幕だった。-古来からの卓越した武術の伝承を運命づけられた者たちの激烈な生きざま。