八年前、十八歳の誕生日にペトラは彼に出会った。彼の名はケイン・フレミング。まだ三十歳にもならないのに金融界で頭角を現したやり手の投資家だ。十歳の年齢差があったものの、二人は一目で恋に落ちた。しかし、ペトラの若さと一途な思いを懸念してケインは決してつき合いを深めようとはしない。ペトラの中で焦燥感が日に日につのっていった。そのときは、まさか育ての親である伯父が二人の恋を利用しようと画策していることも、ケインがあれほど残酷になれることも、まったく予期していなかった。