価格: | ¥3080 |
著者: | 藤井省三 |
出版社: | みすず書房 |
発行年月: | 1989年04月01日頃 |
ISBN: | 9784622045328 |
種類: | 単行本 |
在庫状況: | |
バラライカと盲人用タイプライターを背負って、盲目の青年詩人がはるかモスクワより単身日本にやってきた。ワシーリィ・エロシェンコ、童話作家・エスペランチストでもある彼は、日本語により童話を口述創作し、ギターとバラライカの演奏で、ロシア民謡を歌いながら、各地のエスペラント会で講演した。しかし、詩人の人々を魅了するこうした行為の危険性を見て取った内務省当局は、彼を〈帝国ノ安寧秩序ヲ害スル〉ものとみなし、日本から追放する。本書は、外務省の秘密報告書、三都で刊行された大量の新聞・雑誌、〓周作人日記〓など文革後公開された新資料を用いて、その跡を追う。そして、そこにエロシェンコに熱い共感を寄せつつも冷静にみつめる1人の中国知識人、魯迅の視座をも加えて、1920年代における文学と社会とのかかわりを鮮やかに浮き彫りにする。