本来、理学や工学は、明確に定義でき、厳密に記述され、明確に推論できる事象だけを対象としてきた。一方、現実の世界には、人間の認識や行動などに関する情報のように、あいまいさを含むものが数多く存在している。ファジィ理論は、このあいまいな世界にメンバーシップ関数を想定し、尺度を構成することによって、人間の感情、判断、評価などに関する定性的な情報をも定量的に取り扱う道を開いた。ファジィ理論は、このようなあいまいな情報や事象を扱う科学ではあるが、その内容は数学的に厳密に構成されている。本書は、その理論を平易に解説し、人間社会への応用などを説明することによって、多くの人々に理解を促すことを目的としている。