名門百貨店・丸越は、寺本剛社長の長期ワンマン経営がたたって、乱れに乱れていた。総回診と称する店内視察の行例に、接客そっちのけで最敬礼を行なう店員。愛人・竹村さちの言うがままを許している仕入本部では、リベートがらみの腐敗が目に余るようになっていた。社長室の課長に抜擢されたばかりの菊池治夫は、押しつけ商法をめぐる公取委の審判の打開を探りながら、会社再生、社員の志気向上のため忠勤に励むが…。老舗デパートを愛人とともに私物化した社長の追放劇と、ミドルの苦悩を描く経済小説。