主人公は札幌の刑事。オリンピックの選手に選ばれる程の射撃の腕前。何度も凶悪犯を追いつめ、そのつど道警本部より表彰される敏腕刑事である。しかしその名誉とは裏腹に、事件の数々は人間の孤独や寂しさを容赦なく露呈させてゆく。追う者とてその例外ではなかった。「駅」は、この刑事の１０余年間にわたる人生の軌跡を通して、男と女の出会いと別れを、豊かな映像感覚で描写してゆく。物語には３人の女性が重要な役柄で登場する。たった一度の過ちを弁解もせず、一人息子を抱いて主人公のもとを去る妻の直子。捨てられるとはわかっていながら、愛する男のために犯人の兄を裏切る娘、すゞ子。愛した主人公の刑事に、昔の恋人を目の前で殺されしまう飲み屋の女、桐子。この３人の女性達の厳しく必死な人生ドラマが、主人公の刑事の生きざまをも鮮明に浮かび上がらせる。東宝映画作品原作オリジナルシナリオ。