本書は膨大な研究をもとにした統合失調症の概観に始まり、(1)症状(妄想、幻覚、思考障害、陰性症状)について認知的概念化を含めた理解を進めること、(2)症候学的理解と臨床経験とに基づいた認知的アセスメントと治療の提案をすること、(3)生物学的研究と心理学的側面に関する研究とを統合した統合認知モデルを提示すること、の3つを柱に構成される。本書はベック認知療法の集大成である。認知行動療法のエッセンスを統合失調症の治療で生かすときの重要な知見が多く紹介され、保健や医療、福祉に携わる多くの人の役に立つであろう。