本書は、１９世紀中葉期１８５０年代から１９２０年代に至る時代のイギリス中等教育行政の成立史を、公費維持中等学校制度の形成過程をとおして、中等教育需要の歴史的変化という観点から解明することを目的としている。本書の意義は、公費維持中等学校制度の形成・発展に至る過程において中等教育需要の変化を招来せしめた歴史的・制度的諸要因を分析し、これら諸要因の堆積がイギリス中等教育行政の成立をもたらし、かつ現代イギリスの中等教育行政と中等学校制度との関係における歴史的構造の形成に帰結するものであったことを明らかにすることにある。