価格:¥3960
著者:福井康之
出版社:金剛出版
発行年月:2007年01月
ISBN:9784772409469
種類:単行本
在庫状況:お取り寄せ
対人恐怖は、青年期発達臨床の中核像といえる。本書は、対人恐怖の臨床研究を通じて現代青年の発達の諸相を照らし出し、「青年期発達臨床学」樹立を目指した労作である。著者は、対人恐怖を単に青年期におけるノイローゼの症状とみるのではなく、対人関係の危機の一つとして、将来の成長のために自己が直面する試練と捉え、自己を人格成熟へ向けて再構築するための一過性の様態としてその発達の方向を模索するという、今まで取り組まれてこなかった対人恐怖の「自己論」からのアプローチを試みている。全編にわたり多くの文献を参照し、事例を挿入するなど、対人恐怖の類型・心理機制がわかりやすく解説される。特に、父性の弱体化による現代青年の発達の遅延からくる「エディプス・コンプレックス形成不全」説をペルセウスのメドゥサ退治の神話と結合し、対人恐怖形成のメカニズムと克服の方策を解明した著者独自の「メドゥサ・コンプレックス説」や、新たな軽症対人恐怖である「ふれあい恐怖」や「外見恐怖」について、女子高校生・女子大学生への調査結果の分析を通じて知見が提出されている。青年期の心の臨床に携わるすべての専門職に多くの示唆を与えるであろう。
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