価格:¥6050
著者:伊藤 秀雄/榊原 貴教
出版社:五月書房
発行年月:2001年07月
ISBN:9784772703543
種類:単行本 (翻訳研究・書誌シリーズ 別巻 1)
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探偵小説は「ノベル」ではなく、「ストーリー」だという。そのストーリーは初期の作品をみると、服部誠一ら戯作者たちが時の権力者や富者たちの不正を暴くと同じ位相で、社会的な誤謬を糺す手法によって物語を創造していた。この伝統は戦後日本においても社会派の小説作品に継承されていったが、今日の推理小説は虚構の中の合理性のみを追求し、その衝撃度によって読者の興味を引き続けているようにみえる。現代の社会構造に対するアパシーな状況は、これに拍車をかけている。涙香が今日なお多くのファンを持ち続けているのは、彼が出発点でもち得た社会性と合理性を探偵小説の中に総合化していたからであろう。この経緯を再検討し、探偵小説とは何であったのか、そして現代のミステリー小説がいかなる位置に立たされているのかを解読する。
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