昭和十六年十二月、太平洋戦争の緒戦において命運を分けた二人の提督がいた。真珠湾奇襲を成功させながらも、陣頭指揮を執れなかったがゆえに作戦を完遂できなかった連合艦隊司令長官・山本五十六と、日本軍の騙し討ちによって重傷を負った米太平洋艦隊司令長官・キンメルである。勝利を希求する二人の提督の運命を変えたものーそれは「青嚢の書」なる中国後漢時代の医術古文書の存在だった。革新的な医術で顔を変え、南雲中将として最前線に出撃した山本。だが、一大決戦の場となったガダルカナル沖で待ち受けていたのは、ハルゼーの顔を手に入れたキンメルだった。存亡を賭け、知略の限りを尽くす両提督。総力をあげて激突する日米の死闘の結末は。