山上慎一は、ＣＭ制作の第一線から退いて何年も経ったというのに未だに、再就職先への出社は毎日続けていた。ある日、旅行から戻ってくると同居している父親がいない。母に聞くと入院させたという。まもなく父が最期を迎えると、母と姉たちは父の遺言状を楯に慎一の追い出しに一層拍車をかけてきた。しかも信じていた弟までもが加担していた。慎一は家族の不審な言動から遺言状の偽造を確信し、真実を明らかにしようと法廷で徹底的に闘うことを決心したが、裁判が進行するにつれて現実の本当の厳しさを徐々に思い知ることに-。