『安東次男全詩全句集』（思潮社刊）に未収録の俳句と詩の作品を中心に、俳句３９１句、詩７篇を収録する。俳句は初投句の俳誌「寒雷」作品よりはじまり俳誌「風」等の作品を中心に『裏山』『流』との重複句もあえて収録。詩は、習作作品５篇と詩集『六月のみどりの夜わ』に収録された作品２篇をその発表時のかたちのまま収録する。この意図はすべて編者中村稔の安東次男への表現者としての本質に迫り、習作時代の作品にすでにすぐれた資質が伺われることを明らかにしようとしたものである。この『流火草堂遺珠』には、安東の詩人として出発する以前のすべてがある。詩人中村稔が亡き畏友安東を偲び、安東のために編んだ一書である。