価格:¥2750
著者:石塚正英
出版社:社会評論社
発行年月:1999年05月
ISBN:9784784503261
種類:単行本 (社会思想史の窓)
在庫状況:お取り寄せ
海を越えるということは異郷の地に足を踏み入れることですが、別のみかたをするならば、そこで自己を発見することです。さらには、そこでの発見はもともと自己に内在していたものの発見なのではなく、新たなものとなった自己を発見するのです。ただ、人によってそれを瞬時に自覚するか、ずっとのちになって回顧しつつ確認するかの違いはあります。いずれにせよ海越えは、サルトル的に表現するならば「投企する意志」、マルクス的に表現するならば「変革する実践」に多少とも共感する人には意味がでてくるといえましょう。けれども、海を越える人はだれもみな自己を発見するとは限りません。既存の価値序列や権益にしがみつき、もしかすると自己否定に行き着きかねない自己発見など己れの意に反するとしてまったく顧慮しない人たちは、海を越えても、その行為は自己を越える契機にならないのです。むしろ、自己に閉じこもる契機となりましょう。今回の特集が意味をもつかいなかは、読み手一人一人の実存=来し方におおきく依存しているのです。
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