価格: | ¥2750 |
著者: | 吉澤れい子 |
出版社: | 草思社 |
発行年月: | 2002年03月 |
ISBN: | 9784794211200 |
種類: | 単行本 |
在庫状況: | 在庫あり |
1965年、ボヘミアで一人の明治生まれの老女が亡くなった。彼女の名はフク・ホロヴァー。1987年、共産党政権下のチェコを初めて旅行したとき、著者はプラハのカレル大学の日本語科主任教授から偶然この事実を知らされる。その他でわかっていたのは、明治時代、フクが広島物産陳列館(原爆ドーム)を設計したレツル・アンド・ホラ建築会社の渉外担当役員だったカレル・ホラの夫人であったこと、出身が関西方面ということだけだった。教授からフクの出自を調べてほしいと頼まれたことから著者の「フク探しの旅」が始まる。オーストリア・ハンガリー帝国の属国時代、第一次大戦後の独立、ナチス・ドイツに制圧された時代、戦後の解放、1948年のクーデターによる共産党政権の時代、短かったプラハの春、そして再びソ連に蹂躙された時代ー激動するチェコの20世紀をフクはどのように生きたのか。15年の歳月をかけて、日本各地はもちろん、チェコ、ロンドン、ニューヨーク、モントリオール、上海と、フクとかかわりのあった人々を訪ねて彼女の生涯を丹念に追い、その真実の姿を明らかにした第一級のノンフィクション。