近年の少子・高齢化の急速な進行、長引く経済の低迷、財政政策の深刻化など、社会福祉を取り巻く環境が大きく変化している。こうした時代や社会の変化に柔軟に対処しうる社会福祉制度の再構築が急がれる。だが、社会福祉の基本的枠組みの転換は、経済効率のみではなく、公平性の確保や制度・施策の総合化の視点を重視し、国民・利用者の立場から推進することが必要になる。本書の刊行の意図は、このような動向をふまえながら、現代社会における社会福祉のあり方を模索することにある。本書はテキストとして執筆するという制約から、そうした社会福祉改革の問題については深く言及することはできなかったが、社会福祉の全体を概括的に学んだうえで、各制度や施策をわかりやすく解説することに努めた。例えば、データや資料などはできるだけ最新のものを用い、特に新しくなった法制度の内容を的確に述べることとした。