価格: | ¥3300 |
著者: | ロジャ-・ニコルズ/渋谷和邦 |
出版社: | 泰流社 |
発行年月: | 1996年04月15日頃 |
ISBN: | 9784812101629 |
種類: | 単行本 (叢書ムジカ・ゼピュロス) |
在庫状況: | |
「芸術は存在しないもののパスティッシュである」とヴァレリーは述べたが、この言葉こそ数々の「模倣作品」を作り上げたモーリス・ラヴェルの独自性を考えさせずにはおかない。ラヴェルは作品の中で、様々な衣装をつけて現れた。例えば、サディ、シャヴリエなどを聴き手がはっきりと認識するように趣向を凝らしている。しかしこうした要素は、作品の本質に触れるものではない。音楽を構築する素材が、ジャズやロシア音楽や何であろうとも、完成したラヴェルの音楽は、それ以外の何物でもあり得ず、古典的で明晰な構造をした雪花石膏の建物のような硬質の輝きを発するのである。ラヴェルの音楽は澄み切った謎である。