価格: | ¥1980 |
著者: | 備仲臣道 |
出版社: | 批評社 |
発行年月: | 2007年10月 |
ISBN: | 9784826504713 |
種類: | 単行本 |
在庫状況: | 在庫あり |
司馬遼太郎の作品『故郷忘じがたく候』にある一行の引用からこの物語ははじまる。それまで慣れ親しんできた司馬遼太郎の作品群への憧憬の念は、日本による朝鮮の植民地支配を「たかが三十余年」と断じたとき、悉く喪失する。その重苦しい意味を心の奥深くに刻んだときから、侵略者として日本人である自分の出自と重ね合わせて、己を苛む長く苦しい旅がはじまる。幼少時に育った遥かなる朝鮮での体験を踏まえて『坂の上の雲』に潜む蔑みの思想と対をなす「日本の優位」という国家幻想を緻密に検証し、維新から今日に至る近代化のネジレ構造を照射する。