“いずれにせよ、あの男は決して普通の人間ではない。一体何者なんだろう。わからない男ではあるが男らしくて、情があって、不思議な力を持って、誰がなんといったって、やっぱりあたしの又さんにしなければ承知できるもんか”とお蝶は胸がワクワクして、思わずそっとお艶の顔を見ずにはいられないー。多恵姫が仙台にいると聞いた又四郎は東北道へ向う。又四郎の身を案じ、互いに嫉妬の火花を散らすお艶とお蝶。いよいよ佳境に入った巨匠の代表作第３部。