世界的大富豪の令嬢、キャシー・カルデロンを一目見たとたん、イレフ・スティールは恋をしてしまった。プロのボディガードである以上、顧客にそんな感情を抱くなど論外だ。レイフを、義父に雇われた人間とは知らず泥棒と誤解したキャシーも、彼に強くひかれ、たちまち二人は激しい恋に落ちた。だが、夢のような日々も長くは続かなかった。レイフの正体を知ったキャシーが、彼のもとを去ったのだ。あれから六年半。レイフは衝撃的な事実を知らされた。キャシーがレイフとの間に生まれた娘とともにメキシコにいるという。“こんなところまで来るなんて、どうかしている”重大な身の危険を知りながら、レイフはメキシコに来てしまった。はたして娘はいた。キャシーの美しさにも麿きがかかったようだ。問題は、キャシーが別の男性との結婚を間近に控えていることだ。