この結婚は間違っている。さんざん迷ったあげく、アシュレー・キャリントンは、ウエディングドレス姿のまま、教会から逃げ出した。たどり着いたのは、海辺のビーチハウス。誰も住んでいないことは、以前に確認ずみだ。ここにしばらくひそんで、ほとぼりがさめたら出ていこう。だが、アシュレーの計画どおりに事は運ばなかった。激しい雷雨をついて、ビーチハウスの持ち主が車でやって来たのだ。停電の暗がりの中、彼女はとっさに寝室のクローゼットに身を隠した。弁護士のキャム・ケインは、ろうそくの光に照らされた謎の客を見て、あっけにとられた。僕のシャツを着たこの女性は誰だ。僕は四十八時間ぐっすり眠って休みたい。とにかく出ていってもらおう。だが、外は嵐。こんな夜に女性を一人でほうり出せるだろうか。