「被告を五年の禁固刑に処する」法廷に裁判長の声が響き渡る。だが被告人ルーカス・ヘイスティングは毅然として言った。「わたしは無実です。いずれそれを証明する日が来るでしょう」陪審員の一人アンドリアも彼の有罪に一票を投じたが、心の中には釈然としないものがあった。業績のいい証券会社の経営者で資産家のルーカスになぜ詐欺横領の罪を犯す必要があつたのだろう。あの人はだれかに陥れられたんじゃないかしら。無実の人間を刑務所送りにしてしまったのかもしれない…。その思いがずっとアンドリアを苦しめた。そして三ヵ月後、彼女は思いがけずルーカスと再会する。