ルネサンス文化華やかなりし十六世紀イタリア。林立する都市国家の一つ、ノヴェラのレディ・マリーナは、モンテフィオーレのプリンス・レオナルドに嫁ぐことが決まった。結婚などしたくないけれど、女性が自分で人生を決めたりはできない。彼女は言われるまま、婚礼のためモンテフィオーレへと旅立った。ところが旅の途上、残忍さで知られる隣国の君主に誘拐され、身の代金がとれそうもないとなるや、あわや結婚させられそうになる。そこをまたまた山賊にさらわれ、マリーナの運命は二転三転。どこかの君主の妻だろうと山賊の妻だろうと、ふりかかった運命はこれまでどおり受け入れるしかないと諦観するマリーナ。とりあえず、隣国の君主の追っ手から逃れるため、賊の首領ニッコロと、安全なモンテフィオーレへ向かうことになる。が、庶民に化けての旅は意外な開放感をもたらした。ニッコロも、初めに思ったほどにくらしい男でもないらしい。いつのまにかマリーナは、この逃避行を心の底から楽しんでいた。