貧しい家に育ち、成功することだけを夢見てきたタリアにとって、今日はまさに運命の日だった。ビドウェル社に入って七年、彼女は重役にまで昇進していた。そしてトランズ・コム社との合併を成功させれば、副社長の椅子が手に入る。タリアは厳かな風格をたたえた応接室でトランズ・コムの社長を待っていた。しかし、さんざん待たされたあげく約束は延期になってしまう。だがキャンセルされたおかげでタリアは思わぬ人物に会うことになる。ライアン・デイリー、かつて激しく愛しあいながらも別れてしまった男だ。十一年ぶりの再会を喜ぶタリアだったが、ライアンはある策略を秘めてタリアに会おうとしていた。