二人をつなぐものは手紙だけだった。顔を合わせることはないからこそ、ジェニーは自由になんでも書けた。相手は戦地にいるジョン。彼が知っているのはジェニーの名前だけだ。彼女は一年前事故にあい、松葉杖がなくては歩けない体だった。そのせいで仕事を失い、夫とも別れた。今の彼女にとって、ジョンとの文通が唯一の慰めなのだ。手紙の中でジョニーはジョンの恋人になり、空想の翼を広げ、奔放にたわむれることができる。手紙の中でだけ魅力的な女になれた。だからこそジョンも惹かれたのだろう。戦争が終わるとすぐに会いたいと言ってきた。でも、現実の私の姿を見たら、彼はいったいどんな反応を示すだろう。ジェニーは苦しんだ。会いたいけれど、こわい。哀れみのまなざしを向けられたりしたら…。決心がつかないうちに、ついにジョンの帰還する日がやってきた。