眼前に広がるメキシコ湾、豊かな緑、さわやかな潮風…。カーラはフロリダ西海岸にやってきて大満足だった。幼いころに別れた父の遺産として相続した土地は、予想以上にすばらしい。これならきっと、いい値がつくわ。カーラは土地を売り、そのお金で念願の画廊を開くつもりだった。それにはまず、一つ仕事を片づけなければならない。父が経営していた古ぼけたレストランの店じまいだ。ところが、父一人のものだとばかり思っていたレストランには共同経営者のニックという男がいた。彼は、カーラの意見には耳を貸そうともせず、絶対に店はたたまないと宣言する。なんて傲慢な男なのだろう。こうなったら長期戦だ。彼を店から追い出すまでフロリダに居座ってやる。さっそくカーラは、ニック追い出し作戦を開始するのだが、あいにくニックのほうも、彼女を追い返す作戦を立てていたのだった。