新ＧＣＰの完全施行に伴い、治験の遂行をサポートするスタッフ、すなわち、治験コーディネーター（ＣＲＣ）の必要性が認識されてきた。しかし我が国では、ＣＲＣを担う人材は存在しなかった。そこで（社）日本病院薬剤師会は、平成１０年度に新ＧＣＰ対策特別委員会を設置し、薬剤師ＣＲＣの養成に着手することにした。ほぼ時を同じくして、日本看護協会（看護婦対象）、日本薬剤師研修センター（薬剤師・看護婦等対象）、文部省（薬剤師・看護婦ほか対象）もＣＲＣ養成を開始し、ＣＲＣは薬剤師・看護婦を対象とすることが固まってきた。このなかで、薬剤師ができることは何かを見いだし、薬剤師がすべきことを確立し、ＣＲＣを薬剤師職能の一部とすることが急がれた。本書は、このような背景のもと、新ＧＣＰ対策特別委員会が企画した第１回研修会の講義録である。内容的には、治験の理解に必要な新ＧＣＰの知識、臨床薬理学、臨床統計学等の基礎的な部分から、治験薬概要書・治験実施計画書の読み方などの治験の実際と薬剤師ＣＲＣが目指すべき方向性などの実務面を含み、ＣＲＣ活動の全てを含んでいる。