人は、それぞれの環境条件の下で、さまざまな情報を分析しながら、自己の目標へむけた可能な選択肢を評価し、行動を決定する。意志決定に対する従来のアプローチは、観察可能な客観的な情報の分析という局面のみを重視してきたが、価値観が多様化し、各人の目標設定が複雑化していく現在、人々が代替案をいかに評価・選択しているかに迫るアプローチが重要となる。本書は、国際経済における不確実性の計量経済学的取り扱いや市場競争下における小売価格決定の問題、コンピュータ・シミュレーションの有効性などを具体的に紹介しながら、二つのアプローチの特性を考察し、さらなる可能性を追究する。