価格: | ¥1028 |
著者: | 川田樹里 |
出版社: | 彩図社 |
発行年月: | 2002年07月 |
ISBN: | 9784883922666 |
種類: | 文庫 (ぶんりき文庫) |
在庫状況: | |
旧式な京都の商家で、凡庸たるべく育てられたヒロイン由美子が、玉の輿を蹴飛ばして無欲で選んだ夫、藤田徹は、三十代で外地貿易商として成り上がる。フィリピン在住邦人の租界から、様々な人種との交際に羽ばたき、豪奢な人生に酔いしれる良妻賢母を、悩ますのは定番、「亭主の放蕩」。黄金時代は足が早い。子供が成人の年、夫は蓄財を投じて少年時代の夢に立ち、糟糠の妻を置き去る。小心実直な聖母の岩山に、タキシードの良く似合う富豪の悪魔、材木屋の北村穣司が、ダイヤのリンゴ片手に立ち現れる…。パリ育ちの美貌の友、中島小百合を闊達な狂言回しに、印象深い脇役連が突っ込み倒す人生組曲。小面で語る全編に、三味線とバイオリンの旋律が白檀の香と共に流れて、主題は、秘してこそ花。読後、あなたの恋愛観は、きっと少し変わっている。