それは天保末期、若き僧の不義密通と虐殺から始まった-森の苔庭に埋められた、僧の怨念は百余年を経て、今、子孫の青年僧と檀徒総代の娘に蘇る。近親相姦の情炎の恋。寺宝の「三世青蛇輪廻図」の因縁は、この一族に愛憎の輪廻転生を繰り返す。寺領に祀る「謎の男根神」の祟りは、係累滅亡の終焉を謀る。悪霊の遺伝子は血の中に生き続けて囁き、ついに復讐にまで加担する-苛酷な運命に翻弄される一族。