この物語の舞台となるのは、現代の機械文明が出現する以前、あるいはそれが滅び去って長い年月がたった、自然のままの丘陵地に囲まれたある村。幼い少女サラは、両親が仕事を求めて出かけた留守を曾祖母とともに守るが、ある日不思議な狐に出会う。その狐は、植物や動物や雲など、自分がなりたいものに入り込む方法をサラに教えてくれる。彼女は鷹となって大空を飛翔し、ポプラの木となって風のささやきに心をふるわせる。しかし、村人たちはそんなサラを「悪魔」だと噂し、彼女を焼き殺そうとする。…大自然の美しさに満ちあふれた詩的メルヘン。