場末のキャバレーでサックスを吹く若きジャズマン・矢代俊一。俊一の吹く『レフト・アローン』に心を揺さぶられ何度もリクエストをする男・滝川は、何十人もの人を殺してきた筋金入りのヤクザだった。やがて二人のあいだに奇妙な友情が生まれるのだが、女と縄張りをめぐる、ヤクザ同士の抗争が、この友情に亀裂を入れる。ついに俊一の小指にも滝川の刃が当てられるのだが…。ハードボイルド小説の傑作。