価格: | ¥2200 |
著者: | 木下長宏 |
出版社: | 五柳書院 |
発行年月: | 1987年03月 |
ISBN: | 9784906010202 |
種類: | 全集・双書 (五柳叢書) |
在庫状況: | お取り寄せ |
あらゆる〈言語〉論に、不満がのこった。構造言語論も分析哲学も、現象学や解釈学や記号論の展開する言語論も…、結局、言語は、表出された場のゲームかドラマと考えている。どんな沈黙も非言語もテクスト化されるという前提からしか、あらゆる〈言語〉論ははじめない。書かれざる余白と沈黙をどんなに含んでいても、それらは書き足される可能性の未定形なすがただというのだ。ほんとうにそうだろうか。近代にはいって、日本の詩は、どこを経てどこへ行ったのだろうか。それが、私小説作家や名文家といわれる小説家たちの文体へ拡散し、住みついていったとして、近代化過程にあって、詩を書き文章を綴った人たちそれぞれの内部で、どんな逸脱があり、なにが遺され、なにが喪われていったのか。いいかえれば、日本の近代が、その言葉の領域で肥大させていったもの(その到達点に現在があるのだが)、肥大させていったときに寄生したもの、喪われたもの、これをみさだめておきたい。