本書は『数論1』の基礎の上に現代数論の代表的主題である保型形式論と岩沢理論を解説し、また楕円曲線の数論について紹介する。Ramanujanの発見したいくつかの美しい等式を証明することを目標にして、保型形式とは何を論じ、さらにモジュール群に対する保型形式について解説する。また群上の保型形式とSelberg跡公式との関係について展望する。現代数論の根幹をなす岩沢理論については、岩沢主予想を中心に解説をおこなう。最後に前章までに述べた理論を基に楕円曲線の数論について、WilesによるFermat予想の証明を概説することを目標にして紹介する。岩波講座「現代数学の基礎」からの単行本化。